大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所宮崎支部 昭和28年(う)442号・昭28年(う)443号 判決

本件公訴事実の要旨は「南西諸島奄美大島向け貨物の密輸出をした。」というにあるところ、原判決は、「口永良部島で南西諸島向け便船に積み替え輸出する目的で、貨物を積載の上、口永良部島へ向け航行して密輸出の予備をなした。」というにあつて、犯行の日時、使用船舶、積載貨物、出帆港、被告人等の地位、共犯関係等には変更がないのであるから、両者はその基本的事実関係並びに罪質を同じくすることは明らかで、公訴事実の同一性を失うものではない。又密輸出既遂の起訴に対し、その未遂ないし予備罪を認定することは一般的にいつて、被告人の防禦権に不利益を来たさないのが通常で本件についてこれを見ても、南西諸島奄美大島に密輸出するため、口永良部島へ向け航行したということは、原審における審理の当初から既に問題の中心となつていたのであつて、被告人等の予想しなかつたところではないから、本件密輸出の起訴に対し、訴因変更の手続を経ることなくその予備罪を認定してもなんら違法不当のかどはないのである。即ち原判決に審判の請求を受けた事件について判決をせず又は審判の請求を受けない事件について判決をした違法ありとはいえない。論旨も理由がない。

(後略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!